Column

再エネ_「エネ基」と言われるもの

2025年6月9日 未来の資源とエネルギーのこと

2月18日に、「第7次エネルギー基本計画」

が閣議決定されました。

エネルギー基本計画とは

国が定めるエネルギー政策の基本方針のことで

3年に1度のペースで新しい計画が定められています。

同時期に日本が国連気候変動枠組条約事務局に提出した

カーボンニュートラルに関するNDC(国別削減目標)では

「2040年までに温室効果ガスを73%削減する」

という目標を掲げており

それを達成するには

「どれだけ電気を脱炭素できるか」

が鍵になってきます。

今回は今後日本で再エネが

どうなっていくかにも関わる

「第7次エネルギー基本計画」の概要をお伝えします。

ここではほんの一部のご紹介となるため

気になる方は資源エネルギー庁のサイトにある

原文も確認してみてください。

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第7次エネルギー基本計画のポイント

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【再エネを主力電源にしつつ原発も最大限活用】

今回は、2040年までに再エネの割合を

4割〜5割に引き上げ

主力電源として活用していく方針に加えて

原発に関しては、東日本大震災以降追加された

「可能なかぎり依存度を低減する」

という文言が削除され

最大限活用していく方針が示されました。

【火力発電延命の姿勢を維持】

また火力発電の割合は3割〜4割とされていますが

第6次エネルギー基本計画とほぼ同じ割合となっています。

では、どうやって脱炭素をしていくのかというと

火力発電所から排出されたCO2を回収し

地層深くに貯蓄して必要に応じて利用する

「CCUS」という技術を活用していくことや

火力発電の燃料として

水素・アンモニアを積極的に活用していくことで

「火力発電の脱炭素」を推進していく

という計画になっています。

しかし、このCCUS(CCS)や

水素・アンモニア発電には問題点が指摘されています。

|水素・アンモニア発電の問題点|

・現在水素やアンモニアは化石燃料から作られているため

 採掘時・製造時にメタンやCO2が発生する。

・現状水素やアンモニアは海外から輸入しているため

 輸送時にもCO2が排出される。

・まだ実用化されていない技術で、商用化に向けての課題が多い

|CCUS( CCS)の問題点|

・2020年までの実用化が目指されていたものの

 未だ実用化されていない技術である

・海外の実証実験でも事故などの失敗例が多い

・CO2の分離回収時に莫大なエネルギーや水が必要になる

・地中深くにCO2を埋めるための適地問題がある

(すでに海外へCO2を輸出し貯蔵することも検討されている)

・地震が誘発されるのではないかとの懸念もある

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パリ協定の目標を達成するまでに残された時間は

あとわずかという状況の中で

実用化されていない技術に資金を注ぎ込み

脱化石燃料ではなく

火力発電の延命に力を入れようとする

日本のエネルギー政策には

疑問を感じざるを得ません…。