Column

世界の培養肉事情について

2024年10月16日 環境問題のこと

畜産による環境破壊が問題視され
気候変動や乱獲などによる漁獲量低下や
マイクロプラスチック問題などが騒がれる中
食糧生産の可能性を広げる新時代の食品として
動物の細胞を培養して人工的に肉や魚をつくる
培養肉が注目されています。

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家畜の飼育に使われている飼料や水、土地などの資源を
貧困に苦しむ人々に供給すると考えると
約40億人に栄養を行き渡らせることができる
という研究結果(※)が発表されているように
畜産は多くの資源を消費しています。

しかし培養肉は畜産のように広大な土地を必要としません。
もちろん大量の水や大量の飼料を育てるための農地も不要です。

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また海を取り巻く環境も
温暖化によって各地の名産が失われるなど
生態系の混乱が起きています。

しかし培養魚肉が普及すれば
私たちが海の生物たちを取り巻く環境に
介入する機会を減らすことができます。

もちろん、マイクロプラスチックに汚染された
魚を口にする心配もありません。

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このように培養肉は現在私たちの食を取り巻く問題点へ多くのメリットをもたらしてくれる存在として
注目されていますが
まだまだ研究途中の技術でもあるため
製造に費やされるエネルギーをどう抑制していくか
などの課題もあります。

そして普及のためには
食品としての安全性を担保し
この技術を社会に受け入れてもらうための
倫理的、法的な整備も必要不可欠です。

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環境面において様々なメリットが
期待されている培養肉ですが
まだ日本では一般発売されていません。

しかしシンガポールやイスラエル
アメリカなど世界の国の中には
すでに培養肉が販売されている国もあります。

また反対にイタリアのように
食文化保護の観点から培養肉を
法律で禁止している国も見られ
培養肉の是非については
国によって意見がわかれているのが現状です。

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現在培養肉の研究は
日本も含め各国のスタートアップ企業や
大学の研究室などによって進められています。

そう遠くない将来に
人口増加による食糧危機が起こると指摘される中
培養肉をめぐる議論は今後ますます
ヒートアップしていくことが予想されます🌎

(※)西尾道徳の環境保全型農業レポート穀物を家畜でなく人間が直接食べれば世界の人口扶養力が向上