かつて日本にいた「ニホンオオカミ」を知っていますか?
2025年11月14日 環境問題のこと

かつて日本には
本州・四国・九州に生息していたニホンオオカミと
北海道に生息していたエゾオオカミがいましたが
いずれも明治時代に相次いで絶滅しました。
古くからオオカミは「大神(おおかみ)」と呼ばれ
山の神の使いとして信仰されてきました。
ヤマトタケルノミコトを導いたという伝承もあり
人に寄り添う存在として語られてきたのです。
農耕民族である日本人にとって
オオカミはシカやイノシシなどを捕食する“益獣”でしたが
明治期に牧畜が広まると「家畜を襲う害獣」と見なされ
各地で駆除が奨励されました。
さらに狂犬病の流行や開発による生息地の減少も重なり
1905年1月、奈良県東吉野村で捕獲された個体を最後に
ニホンオオカミは絶滅したとされています。
その後、オオカミの不在も一因となって
シカやイノシシなどの中大型草食獣が増加し
森林の若木を食べ尽くすなどの
「草食獣過密化」が、今問題となっています。
私たち人間は、便利さや安全を求めて自然を切り拓き
森を減らし、山を静かな住処から生活圏へと変えてきました。
かつてオオカミがそうであったように
今もまた、クマやシカ、イノシシなどの野生動物たちが
人間の作り出した環境の変化に翻弄されています。
自然は、人間だけのものではありません。
人と動物が互いの領域を尊重しながら
生きていける社会をつくることこそ
いまの時代に求められている“共生”の形なのではないでしょうか。