釧路湿原で問題となっていることを知ろう!
2025年9月29日 私たちにできること

本来環境にやさしいはずの太陽光発電が
自然環境や人々の暮らしを脅かしている
という本末転倒な自体が
今、日本各地で起きています。
脱炭素社会を実現するために
再生可能エネルギーの普及は欠かせませんが
木を切り倒して、そこに生息する生物の住処を
奪ってまで行う意味はあるのでしょうか?
また斜面に設置されたメガソーラーの付近では
土砂災害のリスクに怯えながら
生活している人たちもいます。
釧路湿原での日本エコロジー社(大阪)による
メガソーラー設置を巡る問題も
そんな矛盾を象徴する事件の一つです。
2025年6月頃、釧路湿原では4.2ヘクタールの土地に
6,600枚の太陽光パネルを設置する建設工事が
着工されました。
北海道東部に位置する釧路湿原は
東京23区の約半分の広さを誇る日本最大の湿地帯で
タンチョウやオジロワシ
キタサンショウウオなどの特別天然記念物や
絶滅危惧種に認定されている希少な生物たちが
数多く生息する生物多様性ホットスポットです。
また、釧路湿原の泥炭層は
国内最大級の「炭素の貯蔵庫」でもあり
気候変動を緩和する自然の装置としても機能しています。
そんな湿地帯の木を切り崩し、土盛りをして
メガソーラーの建設が突如として始まったのです。
なぜ、このようなことがまかり通ってしまったのかには
いくつか理由があります。
釧路湿原は、特別保護地区・特別地域・普通地域の
3つの地域に分かれており
民有地と国有地が混在しています。
今回メガソーラーが建設されている場所は
普通地域の民有地であるため
自然公園法の規制の範囲外となり
自治体は「立地が保護区外なら禁止できない」
という立場を取らざるを得ませんでした。
また、この時点で釧路市には
再生可能エネルギーの立地を制限する条例もなかったため
条例を根拠に阻止することもできなかったのです。
しかしメガソーラー建設開始後、釧路市は
自然環境との調和を図るための規定が盛り込まれた
「釧路市自然と共生する太陽光発電施設の設置に関するガイドライン」 を策定
加えて、10月1日に
「釧路市自然と太陽光発電施設の調和に関する条例」 を施行します。
いずれもすでに着工している案件への強制力は弱いですが
地域住民や関係者がこの条例を根拠に追加的な対策や改善を
求めることは可能になります。
なお、現在、釧路市におけるメガソーラー建設工事をめぐっては
森林法違反の疑いが発覚したことから
9月2日付で工事の一部中止が勧告され
日本エコロジー社(大阪)はそれを受けて
全体経緯の説明と今後の進め方の共有
復旧計画と追加の保護対策の具体化を
進めていく意向を表明しています。
ここまで釧路市の一件を取りあげてきましたが
メガソーラー建設をめぐっては
同じようなことが日本各地で起きています。
再生可能エネルギーの推進はもちろん大切ですが
環境や地域住民の暮らしを守ることと調和してこそ
持続可能な発展といえるのではないでしょうか。
「自然破壊」と言われてもしかたのない
メガソーラー建設を止めさせるためには
条例や法制度を強化すること
住民の声を上げ続けることが必要不可欠です。
署名、市民運動、メディア発信などを通じて
自然を軽視しないエネルギー政策を要求していきましょう。