Column

アグロエコロジーとは

2025年8月28日 環境問題のこと

日本の市場に出回る作物のほとんどは
農薬や化学肥料を使った慣行農法で作られています。

慣行農法は大規模な森林破壊、水不足
生物多様性の損失、土壌の枯渇
高レベルの温室効果ガス排出など
持続可能性の観点から
様々な課題が指摘されています。

そんな中、環境問題や食糧問題への
関心の高まりも相まって
現状の慣行農法に対する
オルタナティブとして注目されているのが
アグロエコロジーです。

アグロエコロジーとは
生態系と調和した
持続可能な農業を目指す
考え方・実践・運動のことで
単なる環境配慮型農業の実践のみにとどまらず
経済、社会、文化の多様性
及び生産者と消費者の主体性の向上を目指す
社会運動としての側面も持っています。

その証拠にアグロエコロジーの10要素として
以下の項目が掲げられています。

・多様性
・知識の共有
・相乗効果
・効率性
・リサイクリング
・強靭性
・人と社会の価値
・文化と食の伝統
・責任ある統治
・循環し連帯する経済

この10項目からも アグロエコロジーが
植物、動物、人間など生態系全体を考慮した
包括的な持続可能性を目指していることがわかります。

ちなみに、アグロエコロジー運動が盛んな国の一つに
世界有数の農業大国ブラジルがあります。

ブラジルでは1980年代に
有機農法を学ぶ人たちの中から
貧困層を救うという社会改革の機運も相まって
アグロエコロジーが草の根的に広まっていきました。

そして2000年代初頭に運動が本格化し
2002年にはアグロエコロジーを推進する
アグロエコロジー全国連合(ANA)が発足。
今年6月にはブラジル国内のアグロエコロジーと
家族農業ネットワークの強化を目的とした
公募プログラムが発表されるなど着々と進展しています。

今、世界中が直面している地球規模の気候変動問題は
現行の慣行農法が限界にきていることを示しているともいえます。

日本におけるアグロエコロジーは、まだ
一部の生産者による実践にとどまっていますが
今後、アグロエコロジーの考え方が
より広く普及し発展していくことを期待したいです。