洪水対策からうまれた「防災地下神殿」とは
2025年9月5日 環境問題のこと

本日も大変な雨が降っていますね~
最近は降り出すととてつもない量の雨が降るようになりました。
みなさんは、埼玉県春日部市の地下に
「防災地下神殿」とも呼ばれる
荘厳な空間が広がっていることをご存知ですか?
長さ177m/幅78m/高さ18mの広大な地下空間に
重さ500トンもの柱が59本もそびえ立ち
その圧巻な様は
まるで古代ギリシアの神殿を思わせます。
実はこの空間は
正式名称を「首都圏外郭放水路」といい
埼玉県と東京都を含む中川・綾瀬川流域を
洪水から守るために13年もの歳月をかけて作られた
世界最大級の地下放水路なのです。
この地域は元来
周辺地域より低いため水が溜まりやすく
緩やかな勾配であることから
水の流れが滞りやすい地形となっています。
それに加えて、急激な都市化による
保水・遊水機能の低下などが影響し
長年、洪水や浸水による被害に悩まされてきましたが
2006年にこの地下放水路が完成したことによって
被害が大幅に軽減されるようになりました。
この放水路の1年間の稼働回数は平均7回ほどで
鬼怒川の決壊を伴う大規模な水害が発生した
2015年の台風では、東京ドーム約15杯分に相当する
1,900万立方メートルほどの水を排水し
地域の防災に貢献しました。
この放水路は
大雨で増水した周辺の中小河川の水を
「立坑」から地下へ引き込み
地下の「調圧水槽」で一時貯留した後
強力なポンプで江戸川へ排水する仕組みになっています。
ちなみに、防災地下神殿と称される
所以となった地下の「調圧水槽」は
各河川から流れてきた水の勢いを調整し
江戸川へスムーズに流すための役割を果たしています。
日本の高度な土木技術が結晶した
「首都圏外郭放水路」は一般公開もされていて
予約をすれば有料で見学も可能なので
ご興味ある方は、ぜひ訪れてみてください。
地上から116段の階段で地下22mまで降りると
夏でも冷んやり心地よい湿った空気が感じられます。
薄暗闇の中に巨大な柱が林立する様は圧巻です。