Column

熊は森を守っている

2025年1月16日 環境問題のこと

今回は森の多様性に貢献している

熊の生態系の話です。

日本には北海道にヒグマ

本州以南にツキノワグマという

2種類の熊が生息しています。

熊は肉食と勘違いされがちですが

実は雑食動物です。

しかもヒグマの食物の7割以上

ツキノワグマの食物の9割以上は

植物で、木の実や果実などを

食べて暮らしています。

たとえばツキノワグマの

食べているものをみてみましょう。

【ツキノワグマのごはん】

春:山菜や花芽

夏:昆虫や蜂、はちみつ、果実

秋:木の実、果実

冬:冬ごもりで何も食べない

熊は冬ごもりに備えて春から秋に

たくさんの栄養を蓄えます。

また、そうして食べたごはんは

糞になりますが

熊の糞は植物の種子などが

そのまま残った状態で排泄されるため

排泄を通じて森に芽吹きを与えてくれます。

しかも熊の行動範囲はとても広いので

森の至る所に種を蒔いてくれているのです。ま

また熊が木の実などを食べる時は

木登りをして枝を折って食べますが

食べた枝をお尻に敷いて

次の枝を食べる習性があり

熊がごはんを食べた木には

木の実を食べ尽くした木の枝が集積したクマ棚ができます。

実はこの習性も森の生物多様性に一役かっています。

クマ棚のある木には、枝葉のない空間ができますが

この隙間が森の中に光が差し込むのを助けてくれ

森の植物の育成に役立っているのです。

クマ棚のある木の隙間の下には植物が育ち

花が咲けば、蜜や花粉を求めて虫たちが集まり

実がなれば、それを求めて小動物が集まるという

好循環が生まれます。

このように熊の習性は

森を豊かにしてくれています。

 一方熊は森に食物がないと

人間のいる里まで食べ物を求めてやってきます。

よく話題になるアーバンベアは

人間が自然に手を加えることによって

熊が住みにくい森にしてしまったことが原因です。

今後さらに温暖化が進むことによって

熊の食物である昆虫類が激減したり

森の植生が変化したりすることによって

熊の食べ物はますます減ってしまいます。

そうすればより多くの熊が

食べ物を求めて里へおりてくるかもしれません。

熊と人間が共存していくためにも

豊かな森を守っていくことが大切です